検診の種類
乳がん検診には以下の種類があります。ご年齢や症状の有無などによってご希望の検診をお選びください。
| マンモグラフィ | 超音波検査 | 診察・結果説明 | 備 考 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 公費検診 (熊本市) |
40歳以上→2方向 50歳以上→1方向 |
× | × 結果はヘルスセンターより郵送 |
熊本市に住民票がある方は40歳以上で当該年度に偶数年齢になる方。エコー検査を追加することも可能です(別途料金がかかります)。 |
| ② | 公費検診 (合志市) |
30歳以上→× 40歳以上→2方向 50歳以上→1方向 |
30歳以上→○ 40歳以上→× 50歳以上→× |
× 合志市より郵送 |
合志市に住民票がある30歳以上の方。エコー検査を追加することも可能です(別途料金がかかります)。 |
| ③ | 自費検診 | 2方向 | ○ | ○ | 当院は精密医療機関です。自己検診目的の保険診療はお受けしておりません。症状のない方のマンモグラフィ・超音波検査を含む診療は自費検診になり、費用はおよそ8,250円です。 |
| ④ | 保険診療 | 2方向 | ○ | ○ | 紹介状をお持ちの方、症状のある方は保険診療になります。 |
| マンモグラフィ | 超音波検査 | 診察・結果説明 | ||
|---|---|---|---|---|
| ① | 公費検診 (熊本市) |
40歳以上 →2方向 50歳以上 →1方向 |
× | × 結果はヘルスセンターより郵送 |
| ② | 公費検診 (合志市) |
30歳以上 →× 40歳以上 →2方向 50歳以上 →1方向 |
30歳以上 →○ 40歳以上 →× 50歳以上 →× |
× 合志市より郵送 |
| ③ | 自費検診 | 2方向 | ○ | ○ |
| ④ | 保険診療 | 2方向 | ○ | ○ |
マンモグラフィ検査
乳房専用のX線装置を使い、乳房を透明な板で圧迫し薄く伸ばして撮影する検査です。腫瘤や石灰化などを精密に描出でき、特に早期乳がんの発見に有効です。40歳以上の方の乳がん検診や精密検査の標準的な手法となっています。
エコー検査
乳房に超音波を当て、体内の反射波を画像化する安全で痛みの少ない検査方法です。とくに若年者や高濃度乳腺(デンスブレスト)の方では小さなしこりや嚢胞、腫瘤の詳細な性状の把握に有用で、放射線被ばくの心配がありません。
CT検査
X線を利用して体の断面を撮影し、乳腺の内部構造や腫瘍・リンパ節・転移の有無を評価できる検査です。造影剤を使うことで診断精度が向上し、主に全身チェックや詳細な病変評価、手術前の精査・治療計画にも使用されます。
乳房は、主に乳腺実質と脂肪によって構成されており、乳房に占める乳腺実質の割合には個人差があります。一般的に、年齢が若いと乳腺実質は多く、年を重ねるに従って脂肪に置き換わっていく傾向にあります。また妊娠や授乳、あるいはホルモン剤の投与などによっても変化します。高濃度乳房(デンスブレスト)は、脂肪比率が少なく、乳腺実質が多い乳房の状態を表す言葉です。
マンモグラフィでは、X線によって乳房を透過し、乳腺の中に発生する異常を検出します。そのため、その検出率は乳腺組織の濃度に影響されます。例えば若くて乳腺組織の濃い方は、乳房の透過性が低く、乳腺内に生じる異常が見つけにくい状態にあります。一方、お年を重ねて乳腺実質が脂肪に置き換わった乳房は、X線の透過性が良好で、異常を見つけやすい状態といえます。そのため、一般検診によるマンモグラフィは40歳以上が対象となっています。
マンモグラフィで病変の検出しやすさを評価するために、乳腺組織をその脂肪比率の多いものから以下の4段階に分類して、指標とします(図参照)。

「不均一高濃度」と「極めて高濃度」を高濃度乳房(デンスブレスト)とよびます。高濃度乳房では、正常乳腺実質によって病変の発見が難しい場合があり、注意が必要です。必要に応じて超音波検査を併用することによって、検査精度を上げることができます。
乳房の構成は人種によっても差があり、日本人女性は欧米人に比べて高濃度乳房の割合が高いと言われます。当院の令和3年度の検診マンモグラフィ1712例のうち、32%にあたる543例が高濃度乳房でした(下図)。
高濃度乳房は、マンモグラフィで病変が見つけにくいだけでなく、乳がんの発症リスク因子であることも示唆されています。一方で、日本人の乳がん発症率は、欧米よりも明らかに低くなっており、高濃度乳房と乳がん発症リスクとの関係はまだ良くわかっていないのが現状です。
乳房超音波検査は、放射線の被爆もなく、小さな病変の検出を得意としますが、がんでみられる石灰化や乳腺の構築の変化の検出はマンモグラフィが優れています。乳がんの早期発見のためには、乳房の構成に合わせて適切な検査方法を組み合わせて行うことが大切です。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)について
日本では毎年9万人以上の女性が乳がんを発症しますが、そのうち7-10%が遺伝性の乳がんであるといわれています。遺伝性乳がんとは、うまれつきの遺伝子の変化による体質を素因として、乳がんに罹患しやすい家族内で発症する乳がんの総称です。
ご自身が乳がんと診断された場合、以下の条件にあてはまる患者様はHBOCの可能性を考え、保険診療で遺伝学的検査を受けることができます。
保険診療で遺伝学的検査を受けることができる方
①45歳以下の発症
②60才以下のトリプルネガティブ乳がん
③2個以上の原発乳がんの発症(両側、片側、同時性、異時性いずれも)
④第3近親者※内に乳がん、卵巣がん、またはすい臓がん発症者がいる
⑤男性乳がん
⑥PARP阻害剤にたいするコンパニオン診断の適格基準を満たす場合
遺伝ときくと、少し怖いと思われるかもしれません。しかし乳がんの治療を考えた場合、その情報は、各々の患者様の価値観に沿った最適な治療法選択に対し、非常に重要な役割をもちます。
例えば乳がんの手術方法を考えるとき、乳房を温存して部分切除にするのか、乳房内再発の可能性を考慮して罹患乳房を全切除するのか、温存するにしてもその後の経過観察の頻度や方法をどうしていくのかなど、リスクを知った上で対応することが可能となります。
また再発の際には、HBOCの患者様特異的に効果が期待できる、いわゆる分子標的薬のPARP阻害剤を使用することができます。
さらに2020年4月からは、新たながんの発生を予防するために、対側乳房、卵管・卵巣のリスク低減手術とその際の乳房再建が、一定の条件を満たす医療機関(熊本では熊本大学病院)において、保険診療で受けられるようになっています。
遺伝学的検査から得られる結果は、変わることのない普遍的な情報です。ご家族にも関わりある情報ですので、知ることによる心理的影響も考えられます。ご家族に乳がんや卵巣がんに罹患した方がいるが、HBOCの検査を受けるか決めかねている、受けたいが不安があるなど、心配な場合はまずはご相談ください(お問い合わせ先:TEL 096-366-1155 乳腺外来 玉田)。検査を受けても受けなくても、各々の患者様が最適な治療法を選択できるように、サポートいたします。
当外来では常勤する臨床遺伝専門医・遺伝性腫瘍専門医によって、主に遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われる方や、複数のご家族ががんを発症されていて遺伝性がんが疑われる方を対象に、遺伝カウンセリングを行います。また必要に応じて遺伝学的検査に対応してまいります。診療を通じて、遺伝情報をがん診療により良く活かし、前向きな生活につながる選択ができるように支援いたします。
●がんのリスク管理や予防的医療
●がんの治療法の選択:手術方法やお薬の選択、また放射線療法の適応の有無
●がん治療後のフォローアップ方法や頻度、また2次がん予防
●ご希望に応じてご家族への情報提供、発症前診断や予防的医療
相談を希望される方がまずはお電話ください。お問い合わせ窓口:096-366-1155
担当外来師長が簡単な状況をお伺いして外来での相談日程を調整します。
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外来予約:金曜午後(14:00~17:30)
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初診:遺伝カウンセリング
なお、すでに診断がついている場合、もしくは他の医療機関から紹介の場合は診療情報提供書を持参いただきますと診療が円滑となります。
遺伝カウンセリングの結果、遺伝性がんまたはその疑いがある場合
適切な管理方針等のご相談や必要に応じて遺伝学的検査を行います。
遺伝カウンセリングの結果、疑いがない場合
通常のがん検診をご受診いただけます。
健康保険の適用となる遺伝学的検査に伴うものを除き、自費診療です。
(同日に保険診療はできませんのでご注意ください。)
●初診11,000円(税込)
●再診もしくは当院で遺伝カウンセリングを受けた方のご家族 5,500円/回(税込)
●遺伝学的検査は別途種類に応じて負担





